竹竿作り その4
 
竹竿作り(第十四段階)
パーツが全て揃ったので組み立てて行きます。
グリップとトップガイドを接着します。
次はガイドの位置を決めます。

トップガイドに糸を通し竿を曲げて、
ガイドの予定位置に糸を結んでみます。
位置を微調整してブランクにマーキングをします。

マーキングした位置にガイドを仮止めして、
実際にラインを通して試し振りをしてみます。

不自然な感じがしたらガイドの位置を変えてもう一度試し振り、
納得するまでこれを繰り返します。

ガイドの位置が決まったら、図面に記入します。
ガイドを取り付ける時に段差が出来ないように、
ガイドの足の部分をダイヤモンドヤスリで斜めに削ります。

ガイドをシルクの糸を巻いて取り付けます。
トリムを3巻き巻き付ける、
そして、ほつれ止めに接着剤をトリムに塗ります。
ほつれ止めの接着剤が硬化したらはみ出た糸をカットします。
他の位置のガイドも同じように取り付けて、
グリップの上に飾り巻きをして、
ガイドの取付完了
巻き付けたシルクのスレッドにエポキシ塗料を塗って行きます。
エポキシが偏らないように
ロッドモーターに掛けて回転させながら硬化させます。

水性のインクでロッドの名前と製造ナンバーをサイン入れします。
そしてサインの上にエポキシでコーティングをします。
他のスレッドにも二度目のエポキシコーティング
エポキシが偏らないように
ロッドモーターにかけて硬化させます。

この後、数回、同じようにエポキシコーティングの作業を繰り返します。

エポキシコーティングの完了、

リールシートフィラーは長めに作ってありますので、
長さを設計図の寸法に合うようにディスクサンダーで削ります。
フィラーの内径と合うようにシャフトにマスキングテープを巻き付けます。
そして、エポキシ系の接着剤で接着
ガイドの面とリールの取り付け面がずれないように
リールを取り付けてみて真っ直ぐになるようにチェックして
接着剤の硬化を待ちます。
接着剤が硬化したら、
ロッドの完成です。
 

Modern Bamboo Spey X の作り方
Modern Bamboo Spey X の下処理の写真です。

左はゼロノード、節を6面、一ケ所にまとめてFRPで補強しています。
竹のスペイロッドが折れる時と言うのは節で壊れることが多いです。
だったら、節を一ケ所にまとめてしまい補強してしまえば良いのだ、
という発想です。

右はフェルールと竹との境目をケブラーで補強しています。
竹のスペイロッドはフェルールと竹の境目で折れる事も多いです。
ですので、境目を補強しています。
それと、Moderan Bamboo Spey X はホロー構造の竿ですが
フェルールの近くはソリッド構造にして、他の部分よりも強度が上がるようにしています。
また、カーボンフェルールですので金属のフェルールと違い微妙にしなります。

竹のスペイロッドは普通の作り方で作ると強度が不足してしまい、
あっけなく壊れてしまいます。

あっけなく壊れてしまう物を商品として売りに出すことはできないと思っています。
商品として出す以上は実釣に耐えられる強度が必要と思っています。

竹竿はひねりに弱いです。
竹竿を使う時は捻ってはダメと言われています。

スカジットやスカンジ、またはトラディショナルスタイルなどの
後ろにディーループを作ってのスペイ系のキャストは
竿に捻じる力が働きます。
その捻じる力は我々の想像しているよりもはるかに大きい力が働いています。

普通の作り方でスペイロッドを作ると、最終的には捻じる力に負けてしまい、
節の所が割れたり、竹の接着面が剥離したり、竹が縦に割れたりします。

商品として出す以上は実釣に耐える耐久性が必要と思っています。

そこで私が考え出したのはスパイラルラッピングと言う工法です。

高強度の繊維をシャフトにらせん状に巻き付けて
捻じれを抑制します。

巻き付けるのはリールシートの中からティップの先端までです。
リールシートの所は硬いリールシートを接着しますので捻じれませんし、
下のグリップの所はアルミパイプを取り付けて中にバランサーを入れますので
ここも捻じれません

竿のアクション部分はリールシートから上です。
上グリップの中も竿はしなりますし、捻じれも発生します。

この工法を採用した竿ですが、
実際に水辺に立ってラインを通して振ってみて気が付くのは
竿が捻じれる事により、パワーロスを相当発生していたんだな!
と言う事に気が付きます。
竿の捻じれを抑制する事により、竿の動きがとてもスムーズで素直になります。

最近ではカーボンのスペイロッドも捻じれに対する対策を施した竿が出てきていますね!

私は近い将来にはカーボンのスペイロッドも捻じれに対する対策を施した竿が
標準になると思っています。

ルアーロッドやエサ釣りの竿の世界では、相当前からそのようになっています。
なんとかエックスとか?言う工法がそれですね!

フライロッドの世界が遅れているのです。

(2021年 春)
ここから後の作り方は、シングルハンドの竿とほぼ同じです。

(2021年 春)
 
竹のスペイロッドを製品化するために、
ありえないくらいの本数のテストロッドを作り、
ありえないくらいの竿を川でのフィールドテストで破損して、
ありえないくらいの年月と予算を掛けました。

これらの工法はその結果から考え出した工法です。
どうやったら実釣に耐えられる竿になるか?
大変な思いをして必死で考えて、
血の滲む様な思いをして、時に涙を流して、
そうしてやっとの思いで考え出した竿です。

チョチョイと竿を作って、川に行ってチョチョイとテストして、
ハイ出来ました!!!って???
みたいに、簡単に作って売っている竿ではないです。

必死の思いで作って考えに考えて製品化している竿です。

(2021年 春)
2021年の閉伊川の桜鱒釣りに使ったModernBambooSpeyX D2 130-7 です。
強度のテストを兼ねていましたので手加減などせずにガンガン使いました。
クラックや剝離などは起きず、壊れる気配は全くないです。
竹のスペイロッドとしては想像を絶する圧倒的な耐久強度がある事が
このロッドのフィールドテストで実証されています。

(2021年 夏)
 
以上、竹竿作り その1 その2 その3 その4 と竿作りの説明をしてきましたが、
これは 2022年 春 の時点での作り方です。

竹竿作りは試行錯誤の連続です。
改善点があれば直ぐに改善
新しいアイデアが浮かべば直ぐにテストしてみる、
日々 試行錯誤
つねに進化を遂げています。

これからもより良い商品を作り出す為に
日々精進です。

(2022年 春)
 
竹竿作り (まとめ)

私は自分の人生で何をするか?で、
物作りを選びました、
(魚釣りを人生に選んだのではありません、)

経済的に貧しくとも
正直に
真っ直ぐに
作品と向き合う

そう言う人生
それはとてもシンプルな生き方です。

真っ直ぐに、作品と向き合う、

(2021年 秋)
 
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